企画書の書き方|「もう誰かがやってる?」から始めるマーケティング入門

「この企画、もうどこかでやってない?」

企画を考えていると、一度はこんな不安がよぎりませんか。せっかく企画書を書いても、すでに同じ企画があれば、大人の方に「それ、もうあるよね」と言われてしまうかもしれません。

そんなときに役立つのが「マーケティング」です。難しそうに聞こえますが、やることは大きく「調べる」と「分析する」の2つ。この記事では、次の内容を紹介します。

※企画書そのものの書き方は、企画書の書き方|高校生のための「ゼロから考える」企画書入門 で解説しています。

目次

マーケティングとは?

マーケティング(marketing)とは、一言でいうと、企画や商品の価値が、必要としている人にきちんと届くようにする仕組みづくりのことです。そのために、世の中や相手のことを調べ(市場分析)、どう届けるかを考えます(戦略立案)。

企画書でいえば、「この企画は、誰のために、なぜ今必要なのか」を裏づける作業にあたります。まずは、「もう誰かがやっていないか」を調べるところから始めましょう。

【調べる編】既存の企画がないか確認する

企画を考えついたあとで、「実はもう行われていた」とわかることは珍しくありません。企画書を出す前に調べておけば、あとからの手戻りを防げます。

今回は例として、「培養肉を使ったレストランを開く企画」を調べてみます。

STEP
企画をジャンルに分ける

企画を1つの言葉で検索しても、うまく見つからないことがあります。そこで、企画の中身を2つ以上のジャンルに分けます。

  • 〈培養肉〉
  • 〈特殊なレストラン〉
STEP
ジャンルごとに連想ゲームをする

それぞれのジャンルで、思いついた言葉を矢印でつなげていきます。最初の言葉からどんどん離れていって大丈夫です。

  • 〈培養肉〉:培養肉 → 人工食糧 → 人工栽培 → バクテリア → 増殖 …
  • 〈特殊なレストラン〉:接客が悪いレストラン → ヴィーガンレストラン → ハラールレストラン …

ここで出てきた言葉が、次のステップの検索ワードになります。

STEP
出てきた言葉を検索にかける

連想ゲームで思いついた言葉を、すべて検索エンジンにかけてみます。

1語ずつだけでなく、ジャンルをまたいで組み合わせるのがコツです。たとえば「培養肉 レストラン」「培養肉 ヴィーガン」のように試します。

連想した言葉を検索エンジンにかけて調べる画面の例

連想ゲームの土台は「知識」

連想ゲームは、基礎知識がないと続きません。ロスフラワー企画の場合は、こんな連想になります。

  • ロスフラワー → ドライフラワー
  • ドライフラワー → ムギワラギク …

知識は、どこからでも手に入ります。ニュース、サイト、普段歩く街中の広告看板、プレイしているゲームのシナリオまで。ありとあらゆるものが、自分の「知識」という武器になります。

企業のサイトも、世の中の動きを知る手がかりになります。当団体にご協力いただいている企業&団体を紹介します。

人にも聞いてみる

自分で調べて見つからなくても、安心はできません。いろんな人に企画の話をしてみてください。「それ、〇〇で見たことあるよ」と、自分では出会えなかった情報を教えてもらえることがあります。

もう誰かがやっていたら?

調べてみて、似た企画が見つかることもあります。そのときは、次のように考えてみてください。

  • 諦めなくて大丈夫:同じような企画があるのは、世の中に必要とされている証拠でもあります。
  • 「違い」を探そう:対象(誰に)・地域・方法・規模のどれかを変えられないか考えます。たとえば、似た企画があっても、「学生向け」や「自分たちの地域で」なら、別の企画になります。
  • 先行事例は、企画書の味方:「すでにこんな事例がある」と背景に書けば、企画の説得力が増します。背景の書き方は、企画書の記事で解説しています。

私たちのロスフラワー企画の場合

私たちのロスフラワー企画も、そうでした。廃棄される花(ロスフラワー)を、ドライフラワーなどに生まれ変わらせる取り組みは、すでに多くの企業が行っています。

そこで私たちは、「まだお酒が飲めない私たちでも、リキュールなら」という発想から、ロスフラワーを使ったフラワーリキュールという切り口を考えました。同じ素材でも、「何にするか」を変えれば、別の企画になります。

まとめ(調べる編)

  • アイデアは、最初は遠慮せず自由に出す
  • 企画の内容を分けて、連想ゲームをする
  • 出てきた言葉を組み合わせて、検索エンジンにかける
  • 基礎知識は、身の回りのあらゆるところから吸収する
  • いろんな人に、企画の話を聞いてみる
  • 似た企画が見つかったら、諦めずに「違い」を探す

【分析編】企画を磨く3つの考え方

「まだない」「あるけど違いを出せそう」とわかったら、次は企画を磨く段階です。外から見て(PEST)、自分たちと比べて(SWOT)、実行して改善する(PDCA)の順に使うと、流れが自然です。

① PEST分析:世の中の流れを見る

企画を取り巻く「外の環境」を、4つの視点で確認する方法です。

  • Politics(政治):法律・ルール・規制
  • Economy(経済):景気・物価・お金の流れ
  • Society(社会):流行・人々の価値観・人口の変化
  • Technology(技術):新しい技術やツール

培養肉のレストランなら、こんな問いが立てられます。

  • 培養肉を提供するためのルールは、どうなっている?(政治)
  • 培養肉をつくる技術は、どこまで進んでいる?(技術)
  • 環境や食の多様性への関心は、高まっている?(社会)

② SWOT分析:自分たちと他を比べる

簡単にまとめると、メリット・デメリットの分析方法です。4つの視点で整理します。

  • Strength(強み):自分たちの企画に好影響を与える、内部の要素
  • Weakness(弱み):自分たちの企画に悪影響を及ぼす、内部の要素
  • Opportunity(機会):好影響を与える、外部の要素
  • Threat(脅威):悪影響を及ぼす、外部の要素

内部は「自分たちの努力で変えられること」、外部は「自分たちでは変えられないこと」と覚えると、迷いません。外部の要素には、PEST分析で調べた内容がそのまま使えます。

似た企画と自分たちの企画を並べて分析すると、「違い」がはっきりして、企画がより独自性のあるものになります。生徒会や委員会の活動にも応用できます。

③ PDCAサイクル:実行して、改善する

学校でも習うことがあるのではないでしょうか。

  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • Check(測定・評価)
  • Act(対策・改善)

行動して、フィードバックをもらい、改善点を見つけて直し、新しい行動につなげていくサイクルです。企画は、実行して終わりではありません。検証の考え方は、企画書の記事でも紹介しています。

さいごに

「やってみなはれ。やらなわからしまへんで。」

サントリー創業者・鳥井信治郎さんの言葉です。調べて、磨いて、最後は「やってみる」。この順番で、あなたの企画を動かしてみてください。

筆者:森野恵太
編集:長尾一成

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