“ロスフラワー”まだ十分に美しいのに、行き場を失って捨てられてしまう花たちのことです。年間およそ1500億円ともいわれる経済損失を生んでいるこの問題に、高校生の視点から向き合ってみました。今回ご紹介するのは、ロスフラワーを「フラワーリキュール」として生まれ変わらせる企画書です。
なぜ、私たちがこの企画をやるのか
ロスフラワーは、普段の生活の中ではあまり注目されない問題です。だからこそ、高校生という立場だからこそ気づける視点で、解決のためのアイデアを考えてみたいと思いました。
そして、考えたアイデアを発表する場所に選んだのが、世界中から注目が集まる大阪・関西万博です。多くの人の目に触れる場所で発信することで、ロスフラワーという問題そのものを、より深く知ってもらうきっかけになると考えました。
ロスフラワーとは?
店頭に並ぶことなく、あるいは売れ残って、廃棄されてしまう花のことです。その経済損失は、年間およそ1500億円ともいわれています。
しかも、失われているのは花そのものだけではありません。花を管理するために使われた電力や水も、同時に失われていることになります。ロスフラワーをなくすということは、花だけでなく、そこに注がれたエネルギーやお金のロスも、まとめてなくすということでもあります。
具体的な内訳を見てみると、実際に使われた花は全体の60%。残りの40%が、さまざまな段階で失われています。製造過程で10〜15%、販売の過程で15〜20%(はみ出しなど)、そして結婚式など使い道がなくなったあとに5〜10%——それぞれの場面でロスが生まれています。
企画の目的
私たちが目指したのは、ロスフラワーを使った「フラワーリキュール」をつくることです。目標にしたのは、次の3つです。
- ロスフラワーを削減すること
- 手に取りやすく、見た目にも味にも購買意欲をそそる商品にすること
- ロスフラワーから生まれた、という唯一性を持たせること
なぜ今、この企画なのか
コロナ禍が明け、以前のような飲みの場は、少しずつ日常に戻ってきています。一方で、コロナ禍で広まった「オンライン飲み会」も、今ではめずらしいものではなくなりました。家でお酒を飲むこと自体が、以前よりずっと身近になったといえます。
だからこそ、「おしゃれで斬新性のある飲み物」として、フラワーリキュールを広く浸透させられるのではないか。そう考えました。
商品のアイデア
花の色素と香りを移したリキュールに、乾燥させて砕いたロスフラワーと、砕いた金粉を加えます。見た目にも高級感のある一杯にすることを目指しました。
展開する種類は2つ。アルコール入りのものと、ノンアルコールのもの。年代を問わず楽しんでもらえるよう、両方を用意します。
パッケージにもこだわりました。箱いっぱいに、色とりどりの花を描き、素材には再生紙を使用。天面には、視覚的に問題意識を訴えるモチーフとして、ごみ箱を思わせるイラストを配置しています。手に取った瞬間から、この商品が「ロスから生まれた」ものであることが伝わるようなデザインを目指しました。


「ノンアルコールリキュール」って何?
「リキュール」と聞くとお酒を思い浮かべる方が多いと思いますが、最近では風味だけを再現したノンアルコールタイプも数多く販売されています。アルコールを含まないため法律上「酒類」にはあたらず、未成年でも購入できます。私たちの企画でも、この仕組みを活かしています。
想定しているのは、こんな人
たとえば、コロナ禍をきっかけに、遠方に住む友人とオンライン飲み会をするようになった50代の女性。子どもが独り立ちを控え、これから一人の時間が増えていく——そんな方にも。
あるいは、家族がお酒を日常的に楽しむ姿を見て育った高校生。ルールはきちんと守りたいけれど、お酒の味や文化そのものには興味がある——そんな方にも、届けられたらと考えています。
関わる人たち
花の生産者 → リキュールの製造者 → 販売者 →(飲食店)→ 消費者
花農家さんや花屋さんと連携し、廃棄される予定だった花を集めるところから、この企画は始まります。
想定されるリスク
乾燥させた花びらが体に与える影響についても、事前にきちんと検討する必要があると考えています。
期待される効果
- ロスフラワーの知名度・理解度が上がること
- フラワーリキュールを手に取ってもらうことで、経済的なロスの解消につながること
- 自分の好きな花や、他のリキュールを試したいと思った人がリピートしたり、若い世代がSNSで発信したりすることで、知名度が広がっていくこと
4人の高校生、ひとつのチーム
この企画は、ロスフラワーという課題に対して、1人が1つの企画を担当する形で、合計4つの解決アイデアを制作した取り組みのひとつでした。フラワーリキュールは、その中の1案です。
一人ひとりが自分の企画を持つことで、全員が責任感を持って取り組むことができていました。ロスフラワーという、これまで扱ったことのないテーマだったからこそ、全員がワクワクしながら企画を形にしていけたと感じていたようです。
このチームは、企画をかたちにしたのち解散しています。ここに残しているのは、当時4人が本気で考えた記録です。
この記録を読んで、何か感じてくれた方へ
この企画自体は、当時のチームとともに一区切りを迎えています。それでも、ロスフラワーという課題や、高校生がここまで本気で考えたという事実は、これからも誰かの参考になればと思い、記録として残しています。私たちの他の活動にも、ぜひ目を通してみてください。
文責:水野 皓太・水本 華
編集:長尾一成