企画書の書き方|高校生のための「ゼロから考える」企画書入門

生徒会や委員会で新しいことをやろうとすると、必ず出てくるのが「企画書を出して」という一言です。でも、「なぜ企画書を出さないといけないの?」「具体的に何を書けばいいの?」と、最初は誰もが迷います。

私たち関西生徒会未来団体は、高校生が自分たちで企画書を書き、企業に持っていき、実際に商品開発や大阪・関西万博での発表につなげてきた団体です。この記事では、その経験をもとに、何もないところから企画を形にする「ゼロから考える企画書」の書き方を、テンプレートと例つきで紹介します。

目次

企画書とは?なぜ必要なの?

企画書とは、新しいプロジェクトのアイデアや「やりたいこと」を実現するために、誰が見てもわかるようにまとめた文書です。

頭の中にあるアイデアは、自分にとっては明確でも、他の人にはなかなか伝わりません。企画書を書くことで、企画の中身がはっきりし、先生や企業の方など、相手にずっと伝わりやすくなります。そして何より、書いている途中で、自分自身の考えも整理されていきます。

企画書の書き方の基本は「目的・背景・手法」

企画書にはいろいろな項目がありますが、まず押さえてほしいのは、たった3つです。

  • 目的:この企画で、最終的に何を実現したいのか
  • 背景:なぜ、それを実現したいのか(理由)
  • 手法:目的を達成するために、具体的に何をするのか(手段)

一番大切なのは「目的」を定めること

よくある失敗が、目的と手法が入れ替わってしまうこと。

例:「校則を変えたい」を目的とします。すると先生からは、「なんで校則を変えたいの?」と聞かれます。そこで「時代に合っていないから」と答えると、本当の目的は「時代に合った学校にすること」で、校則を変えるのはそのための手段だった、ということになります。

では、「時代に合った学校」とは何なのか。なぜ、そうしたいのか。ここが明確でないと、誰もまともに話を聞いてくれません。これが「目的が定まっていない」状態です。

目的は「相手に響くもの」にピントを合わせる

目的は、誰が聞いても納得できるものであることが大切です。ただし「世界平和」や「差別をなくす」のような大きすぎる目的は、誰もが納得する一方で、目の前の生徒や先生には響きにくいもの。企画を届けたい相手に響く目的にピントを合わせましょう。

そして生徒会の場合は、「生徒の声に耳を傾け、学校に伝えること」という大前提を忘れないことです。

背景は「なんで?」を考える

背景を考えるときは、「なんで、これがしたいのか?」を繰り返し考えます。特に、先生や大人と交渉するなら、背景にこそ力を入れてください。

「楽しそうだから」「おもしろそうだから」は、言うまでもなく相手にされません。そして、やりがちな間違いが、背景を「みんなが言っているから」「意見箱に入っていたから」にしてしまうこと。これでは「ああ、そうですか」で終わってしまいます。生徒会は、その声をどうすれば学校に届けられるかを考える場所です。たとえば、「〇%の生徒がこう思っている」とデータで示すのは、とても有効な方法です。

「やりたいこと」から考え始めてもいい

必ずしも「目的→背景→手法」の順に考える必要はありません。「こんなことがしたい」から始めても大丈夫です。「なんで?」を繰り返せば、自然と目的が見えてきます。

「行事で携帯を使えるようにしたい」
 ↓ なんで?
「青春を、目に見える形で残したい」
 ↓ なんで?
「一生の思い出になる行事をつくりたい」← これが目的

目的が「一生の思い出になる行事をつくる」だとわかれば、手段は携帯だけではありません。たとえば、クラス単位でアルバムをつくるのも一つの方法です。目的が正確に定まっていれば、アイデアはいくらでも出てくるし、学校とも着地点を見つけられます。

企画書の例:文化祭の企画書を比べてみよう

同じ「文化祭に外部の人を入れたい」という企画でも、書き方ひとつで伝わり方はまったく変わります。

書き直す前:伝わりにくい企画書

目的:文化祭に外部の人を入れたい
背景:生徒の声が多かった。外部の友達を入れると、交流が深まって楽しいから
手法:行事実行委員を活用して警備を増やす。一人あたり呼べる人数を制限する

「外部の人を入れる」は、目的ではなく手段です。背景も「声が多かった」「楽しいから」で、先生を納得させる理由になっていません。

書き直した後:伝わる企画書

目的:生徒の頑張りを家族や地域の人に見てもらい、学校の魅力を学校の外にも伝える

目標:来場者アンケートで〇%が「また来たい」と答え、安全面のトラブルを0件にする

背景:生徒アンケートで、〇%が「家族や地域の人、他校の友達を呼びたい」と回答した。理由として「準備を頑張った姿を家族に見てほしい」「自分の学校のことを友達に知ってほしい」といった声が多かった。

手法:文化祭を一般公開し、生徒一人につき〇人まで、家族や友人を招待できるようにする。

詳細(安全面の対策):受付で招待券を確認し、来場者を把握する。生徒会役員を中心に、生徒と先生で見回りの担当を決める。一人あたりの招待人数を制限し、校内が混雑しすぎないようにする。

書き直した企画書では、次の点が変わっています。

  • 「外部の人を入れる」を、目的から手法に移した:本当に実現したいことは何かを、「なんで?」で掘り下げています
  • 目的に、学校にとっての良さを入れた:読む相手である先生に響く目的になっています
  • 背景を「声が多い」から「データと理由」にした:何%の生徒が、どんな理由で望んでいるのかがわかります
  • 先生が一番心配する安全面に、先回りして答えた:反対されそうな点への対策があると、企画は通りやすくなります
  • 目標を入れた:文化祭のあとに、目的を達成できたかを検証できます

企画書に書く9つの項目

「目的・背景・手法」が固まったら、企画書として必要な項目を埋めていきましょう。

  1. タイトル・テーマ:一目で何の企画かわかる名前
  2. 目的・目標:何を実現したいのか、どこまで達成したいのか
  3. 背景・問題提起:なぜ今、この企画が必要なのか
  4. 内容:何をするのか(企画の全体像)
  5. 詳細:いつ・どこで・誰が・どうやって
  6. スケジュール:準備から実施、振り返りまでの流れ
  7. 成果・効果:実施すると、誰にどんな良いことがあるのか
  8. リスク管理:起こりうる問題と、その対策
  9. 予算:いくらかかるのか、どこから出すのか

そのまま使える企画書テンプレート

下のテンプレートをコピーして、WordやGoogleドキュメントに貼り付けて使ってください。「→」のあとに書いてあるのは、その項目で考えることのヒントです。

【作成者・提出日】

【企画名】
→ 一目で何の企画かわかる名前

【目的】
→ この企画で、最終的に何を実現したいのか

【目標】
→ 目的をどこまで達成したいのか(例:アンケートで〇%が「満足」と答える)

【背景・問題提起】
→ なぜ今、この企画が必要なのか。現状の課題やデータ

【内容】
→ 何をするのかを、ひとことで

【詳細】
・いつ:
・どこで:
・誰が:
・何を:
・どうやって:

【スケジュール】
・準備:
・実施:
・検証・報告:

【成果・効果】
→ 誰に、どんな良いことがあるのか

【リスク管理】
・起こりうる問題:
・その対策:

【予算】
・項目と金額:
・お金の出どころ:

上下の矢印キーを使用してメタボックスパネルのサイズを変更します。

資料は、必ず「テキスト」からつくる

いきなりパワーポイントを開いて、見た目から作り始めていませんか?

企画書は、まず文章(テキスト)で中身を固めてから、スライドなどのツールを使うのが鉄則です。見た目を整えるのは、中身が決まってからで十分です。上のテンプレートを文章で埋めるところから始めましょう。

企画書が書けないときの6つのヒント

  1. 自分の立場と、誰に向けた発表かを意識する:先生に出すのか、企業に見せるのかで、響く言葉は変わります
  2. 「誰に喜んでもらえるのか」を書き込む:企画の先にいる人の姿が見えると、説得力が増します
  3. ステークホルダー(関わる人)の範囲を意識する:生徒、先生、保護者、地域、企業など、誰が関わるのかを整理しましょう
  4. 体験談を使って、説得力をもたせる:実際に見たこと、困ったことは、何よりの根拠になります
  5. 手段と目的を区別する:書いている途中で迷ったら、「これは目的?手段?」と自分に問いかけてください
  6. 簡潔に、短く、わかりやすく:伝えたいことが多いほど、削る勇気が大切です

チームで企画を考えるときに、大切なこと

誰かが企画を考えたとき、話し合いでアイデアが出たとき、「めんどくさそう」「どうせできない」「うちの学校には向いてない」という言葉が出ていませんか?

生徒会役員・委員会メンバー・運営メンバーなどの中がこういう雰囲気だと、何もできないし、何も変えられません。

まずはアイデアを否定せず、「どうすればできるか」を一緒に考えることから始めましょう。

レベルアップ:実現したら「検証」まで

企画は、実行して終わりではありません。実現できたら、目的を達成できたかどうかを検証しましょう。

企画立案 → 実行 → 検証 → 報告書の作成 → 次の企画立案

たとえば、先ほどの「つながりを強く広くする」を目的にした文化祭では、終わったあとに全校生徒へアンケートを行い、目的を達成できたかを検証しました。その結果を学校に報告すると、校長先生にも満足していただけただけでなく、次に活かせる反省点も見つかりました。検証までやり切ることで、次の企画はもっと良くなります。

高校生が実際に書いた企画書の例

関西生徒会未来団体では、この考え方で企画書を書き、企業に持っていってきました。実際の企画書を公開しているので、書き方の参考にしてみてください。

全ては、大阪・関西万博の場で発表することはできました。またノンアレルギーベーグルの企画書は、企業の方の手で米粉100%のパン「パーグル」という商品になりました。高校生が書いた一枚の企画書でも、目的がしっかりしていれば、本当に社会を動かすことができます。

企画書についてよくある質問

Q. 目的と目標の違いは?

目的は「最終的に実現したいこと」、目標は「目的がどこまで達成できたかを測る、具体的な到達点」です。たとえば目的が「文化祭でつながりを強く広くする」なら、目標は「アンケートで〇%の生徒が『他のクラスと交流できた』と答える」のようになります。目標があると、あとで検証がしやすくなります。

Q. パワーポイントとWord、どちらで書けばいい?

まずは文章(Wordやテキスト)で中身を固めましょう。発表でスライドが必要な場合は、中身が決まってからパワーポイントに移すのがおすすめです。

Q. 企画書はどれくらいの長さが良い?

提出先や企画の大きさによりますが、まずはA4用紙1枚に収めることを目指しましょう。短くまとめようとすると、本当に大事なことが何かが見えてきます。

Q. AIを使って企画書を書いてもいい?

文章を整えたり、抜けている項目に気づいたりするのにAIは便利です。ただし、「なんで、これがしたいのか?」という目的と背景だけは、自分の言葉で考えてください。そこが、あなたの企画にしかない強みになります。

さあ、企画書を書いてみよう

企画書は、最初から上手に書ける人はいません。私たちも、何度も書き直しながら、少しずつ形にしてきました。まずは「なんで、これがしたいのか?」を考えるところから始めてみてください。

「書いた企画を、学校の外でも試してみたい」「企業に持っていくような企画に挑戦してみたい」。そんな高校生がいたら、ぜひ一度、私たちに話を聞かせてください。

筆者:関西生徒会未来団体2024年度メンバー
文責:長尾一成

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